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【レポート】科学的介護フォーラム’24 in Japan:タイムスタディで処遇改善加算を掴む!~「ハカルト」導入事例から学ぶ成功の秘訣~

024年11月7日、東京・芝公園の機械振興会館6階で開催された「科学的介護フォーラム’24 in Japan」。介護・障害福祉のDX推進をテーマとした本フォーラムでは、最新のICTツールやロボットの展示、専門家によるセミナーなど、充実した内容が展開されました。なかでも注目を集めたのが、株式会社最中屋の鎌田農CMOが司会を務めたセミナー「これだけ聞けばわかる!処遇改善加算必須のタイムスタディ調査が明かす現場のリアル」です。令和7年度から処遇改善加算でタイムスタディ調査が必須となることを控え、多くの参加者の関心を引きました。
株式会社ツクイの玉川順一郎氏と社会福祉法人津山福祉会 高寿園の仁木典子施設長が登壇し、タイムスタディアプリ「ハカルト」の導入事例を共有。現場での課題や成果、成功の秘訣について、パネルディスカッション形式で活発な意見交換が行われました。

「科学的介護フォーラム’24 in Japan」の詳細はこちら

タイムスタディが明かす介護現場のリアル:2施設の導入事例

株式会社ツクイ

・業務見直しに基づいた効果的な人員配置:

特に夜勤帯の負担軽減を目指し、人員配置の最適化を図る。

・個別ケアの充実

個別ケアの現状を把握し、サービス計画書への反映を通して、よりパーソナライズされたケア提供を目指す。
現状、「ハカルト」で得られたデータとサービス計画書との連携が課題となっており、今後データ連携や活用方法を検討していく予定です。例えば、入浴や排泄介助にかかる時間、個別のニーズに応じたケア提供の実態を「ハカルト」で記録し、そのデータをサービス計画書作成に活用することで、より精度の高いケアプランの作成が期待されています。

社会福祉法人津山福祉会 高寿園

ノーリフティングケアやICT導入による業務効率化に取り組んできた高寿園。「ハカルト」導入は、職員の感覚的な負担感と実際の業務時間のずれを解消し、客観的なデータに基づいた改善活動を行うために実施されました。タイムスタディの実施により、以下の成果と今後の展望が示されました。

・現状の課題に対する共通認識の醸成と改善活動への意識向上

データを職員間で共有することで、課題の明確化と改善策の効果検証をスムーズに行うことができた。

排泄ケア見直しへの職員の積極的な参加:
データの説得力により、当初否定的だった職員も意識が変化し、積極的に取り組むようになった。

・更なる個別ケアの推進:

排泄ケアだけでなく、食事提供、夜勤業務など、様々な業務における個別ケアの現状を「ハカルト」で記録・分析し、改善に繋げていきたいと考えている。

導入成功の秘訣:事前準備と活用目的の明確化

両施設の発表から、「ハカルト」導入成功の秘訣は、導入前の準備と活用目的の明確化にあることが明らかになりました。

1. 導入前準備の徹底:

操作説明だけでなく、目的と効果を共有:

ツクイでは、操作方法だけでなく、タイムスタディの目的、期待される効果を丁寧に説明することで、職員の理解と協力を得られたことが成功の要因に。

・記録ルールの明確化と標準化:

高寿園では、「ハカルト」未対応の業務項目についても、事前に具体的な記録ルールを設定・共有し、データのばらつきを抑え、分析精度を高めた。

・記録項目の可視化:

 高齢職員への配慮として、記録項目を大きく表示した資料を用意するなど、記録しやすい環境整備も重要。

2. 活用目的の明確化と共有:

 ・具体的な目標設定:

 何を改善したいのか、どのような効果を期待するのかを明確にすることで、タイムスタディの意義が明確になり、職員のモチベーション向上に繋がる。

・多角的な活用方法の検討:

人員配置の見直しだけでなく、サービス計画書への反映、個別ケアの充実など、様々な活用方法を検討することで、「ハカルト」の導入効果を最大化できる。

 ・PDCAサイクルの確立:

タイムスタディで得られたデータを基に改善策を実施し、その効果を検証することで、継続的な業務改善を実現。

ハカルトへの期待と「ハカルトコミュニティ」

ツクイ、高寿園ともに、「ハカルト」の音声入力機能の実装に期待を寄せています。音声入力は、記録作業の更なる効率化に繋がり、職員の負担軽減に大きく貢献すると考えられます。
また、12月発足予定の「ハカルトコミュニティ」は、全国の施設が繋がり、タイムスタディや業務改善に関する情報交換や相談を行う場として期待されています。

 まとめ

「ハカルト」は、介護現場におけるタイムスタディの実施を容易にし、処遇改善加算取得だけでなく、生産性向上や個別ケアの充実といった、介護現場の様々な課題解決に貢献するツールです。導入前の準備と活用目的の明確化、そして継続的なPDCAサイクルの実施が、導入成功の鍵となります。「ハカルトコミュニティ」への参加を通して、他施設の事例やノウハウを共有し、共に成長していくことも期待されます。

今後も最中屋は介護・障害福祉サービス事業所にとって有益なセミナーをご提供いたします。ご興味のある事業所様は、こちらからお問い合わせください。