【特別養護老人ホーム|福岡県】見える化で実現した持続可能な業務改善 ─ 定員330名の大規模施設における挑戦

見える化で実現した持続可能な業務改善 ─ 定員330名の大規模施設における挑戦

社会福祉法人創生会
介護老人福祉施設 奈多創生園

鶴田 君子 氏

社会福祉法人創生会 介護老人福祉施設 奈多創生園における、ハカルトを活用した業務改善の取り組みをご紹介します。

導入の背景

「奈多創生園は、開設から52年の歴史を持つ従来型特別養護老人ホームです。定員330名という大規模施設であり、地域の高齢者福祉を長年にわたり支えてきました。

しかし、昨今の介護業界全体を取り巻く人材不足の影響は同施設にも及び、慢性的な残業や、理想とするケアの質の維持が困難な状況に直面していました。

「感覚的には、忙しい、大変だ、とみんなが言っている。でも、具体的にどの業務にどれだけ時間がかかっているのか、どこに課題があるのかが見えていなかったんです」
介護部係長 鶴田 君子 氏

タイムスタディによる業務可視化

課題解決の第一歩として同施設が選んだのは、「ハカルト」を活用したタイムスタディによる現状把握でした。

「330名という大規模施設で、フロアごとに特色も違います。重介護の方が多いフロア、認知症の方が中心のフロア。それぞれに人員配置も異なる中で、感覚ではなく、根拠となるデータが欲しかったんです」 
介護部係長 鶴田 君子 氏

スマートフォンで業務時間を計測する様子

データに基づく各フロアの取り組み

可視化されたデータを基に、各フロアの課題に合わせた具体的な改善活動が展開されました。


フロアA:余暇時間確保と残業削減(副主任 櫛部 明 氏)

  • 目標:入居者様の余暇時間の確保
  • 取り組み:排泄ケア時間の詳細分析と業務フローの組み替えを実施。
  • 成果:月189時間あった残業時間を89時間へ、約100時間の削減に成功しました。

フロアB:整容時間確保と業務効率化(主任 大神 佳祐 氏)

  • 目標:髭剃りや爪切りなどの整容時間の確保
  • 取り組み:時間がかかっていた食事業務の見直しと、勤務バランスの調整を行いました。
  • 成果:業務効率化により食事時間が短縮され、整容のための時間を十分に確保できるようになりました。

フロアC:機器導入効果の可視化(主任 岡松 潤一 氏)

  • 目標:エアマット導入効果の定量的測定
  • 取り組み:導入前後の体位変換にかかる時間を比較測定し、間接業務の見直しも実施しました。
  • 成果:体位変換時間の削減効果をデータで証明することに成功しました。
鶴田氏(右)と櫛部氏(左)

導入時の工夫と課題

大規模施設での導入には困難も伴いました。特に外国人職員を含む多くのスタッフへの浸透が課題となりましたが、以下の工夫により乗り越えました。

  • 操作マニュアルの作成と周知
  • 計測項目一覧の統一化
  • フロアごとの運用ルールのすり合わせ
  • 外国人職員への丁寧なサポート
大神氏(左)と岡松氏(右)

継続的改善の仕組み

同施設の取り組みで特筆すべきは、「生産性向上委員会」を設置し、組織として継続的に改善に取り組んでいる点です。定期的なタイムスタディを実施し、PDCAサイクルを回すことで、一時的な改善に終わらせない仕組みを構築しています。

機器導入の根拠として

可視化されたデータは、新たな設備投資の判断材料としても活用されています。エアマット導入時の効果測定に加え、現在は見守りシステム導入の検討においても、データに基づく議論が行われています。数値による裏付けがあることで、説得力のある意思決定が可能となりました。

経営面での効果

現場レベルの改善は、経営指標にも好影響をもたらしています。

  • 残業時間削減:人件費の適正化を実現
  • 離職率の低下:働きやすい環境づくりによる定着率向上
  • 採用コストの削減:定着率向上に伴うコスト抑制

ハカルトへの期待

今後のさらなる活用に向けて、以下のような機能強化に期待が寄せられています。

  • 多言語化対応(外国人職員向け)
  • 音声入力機能の実装
  • グラフ比較機能の充実
  • 曜日別・日付別の詳細分析機能

タイムスタディを通じて実現する施設の未来

最後に、今回の取り組みを通じて見据える施設の未来について、鶴田氏にお話しいただきました。

「職員の負担軽減と職場環境の改善を実現し、職員のモチベーションの維持、人材の定着に繋げたいです。そして、テクノロジーを適切に活用しつつ、業務効率化によって生まれた時間を、職員の専門性を高める人材育成の研修を再構築し、『人』にしかできないケアの質を向上させ、利用者が安心して生活できる施設にしたいです。まだまだたくさん課題はありますが、歩みを止めず、利用者、職員双方にとって明るい未来を期待します。」
介護部係長 鶴田 君子 氏

まとめ

社会福祉法人創生会 介護老人福祉施設 奈多創生園は、ハカルトによるタイムスタディを活用し、定員330名という大規模施設における業務の可視化と改善を実現しました。

同施設の特徴は、測定して終わりではなく、生産性向上委員会を中心とした継続的な改善サイクルを構築している点にあります。データに基づく客観的な現状把握、フロアごとの具体的な目標設定、そして現場主導の業務改善―これらの取り組みが組み合わさることで、持続可能な業務改善が可能であることを示しています。

感覚ではなくデータを根拠とし、そのデータを現場の職員自身が活用して主体的に改善に取り組む。奈多創生園の事例は、これからの介護現場における業務改善のあり方を示す一つのモデルケースと言えるでしょう。


【社会福祉法人創生会】

施設名:介護老人福祉施設 奈多創生園
所在地: 福岡県福岡市東区雁ノ巣1丁目7-25
事業内容:特別養護老人ホーム(定員330名)
     ショートステイ(定員12名)
     デイサービス・居宅支援事業所等

URL :http://www.souseikai.or.jp/